100字小説で描く日々の不思議 気がつけば自伝SF 北野勇作さん

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聞き手・向平真 写真・白井伸洋

 小松左京、筒井康隆、眉村卓……。関西は常に多くの作家を輩出してきた「SFどころ」。北野勇作さん(61)は、現役で活躍する代表格のひとりだ。日々の暮らしの中で発見した「不思議」を、ちょっとずらして表現することで出現する、シュールな世界を描き続けてきた。そんな北野さんが8年前から取り組んでいるのが「100字小説」だ。完成作は既に4千本を超え、作品集も次々と刊行されている。

 ――そもそも100字小説を始められたきっかけは何ですか。

 ショートショートとか、短い小説が好きなんですが、読んでもらう機会が少ない。それで、140字まで書けるツイッター(現X)に目を付けました。つまり最初の動機は、作品の宣伝なんです。

 ちょうどそのころ、大阪・新世界の遊園地が潰れた更地で、巨大な天使の像に出会いました。あ、このことをなんも説明せんと書けたらおもろいなと。普通の短編だと、何か理屈が要りますけど、100字やったら断片だけで成立させられるかもしれんてね。で、実際に書いてみたのが、第1作になりました。

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この記事を書いた人
向平真
コンテンツ編成本部
専門・関心分野
映画史・映画の発掘復元、SF、料理