「ジュリー氏宅のインターホン押したら…」 BBC記者が語る問題点

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聞き手・ロンドン=藤原学思
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 ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏らが7日、東京都内で記者会見を開き、故ジャニー喜多川氏による性加害を初めて認め、謝罪しました。この性加害が大きな社会問題になったきっかけの一つは、英公共放送BBCによる3月のドキュメンタリー番組です。制作に携わったモビーン・アザー記者が7日の会見直後、ロンドンのBBC本社で朝日新聞の取材に応じました。やりとりを2回に分けてお伝えします。

 ――番組の放送から半年が経ち、事務所が初めて性加害を認めました。

 多くの意味で、一歩前進したと思います。虐待があったと認めたこと自体が進展であり、また、ようやく本当の意味での謝罪をしたからです。

 前回の(事務所が5月に出した)声明は、人びとがどのように感じたかについての謝罪であり、虐待を認めてはいませんでした。

 ただ、なぜ、このような事態に至ってしまったのか、事務所が答えるべき大きな問題がまだいくつも残っています。これまで事務所側は何が起きたのかを自分たちから率先して解明し、真実に迫るというよりも、ただ単にその場しのぎの対応をしてきたように思えます。

 また、藤島氏の社長辞任は当然として、彼女は100%株主のままです。それは、タレントたちの成功の主な経済的な受益者が、喜多川氏の家族の一員であり続けることを意味します。

 さらに、会見では同族経営をやめる意向を示しながら、後任の東山紀之氏は藤島氏と長年、時間をともにしてきたし、事務所のカルチャー(企業文化)に染まっている人物です。なぜ外部の人間を後任にしないのか。私には、そちらの方がずっとバランスが取れているように感じます。

 (被害者への)補償についても言及がありましたね。進展であり、良いことです。

 ただ、どのような補償であり、どのような方法で補償をするのか、サバイバー(性的虐待の被害者たち)はどのように(事務所に)連絡を取ればいいのか、もっと具体的に知りたかったです。

 事務所にとっては、まだまだ長い道のりがあると思います。

認定、謝罪、補償だけでは「不十分」

 ――性加害を認め、謝罪し、補償を申し出るという三つだけでは不十分だということですか。

 まったくもって不十分です。まず必要なことは、企業としてのカルチャーの完全なオーバーホール(全面的な立て直し)です。

 私たちが番組を制作する過程…

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    浅倉拓也
    (朝日新聞記者=移民問題)
    2023年9月8日10時40分 投稿
    【視点】

    例えば劣悪な環境で外国人を働かせている縫製業者と取引していたら、大手のアパレルブランドは直接知らなくても大きな問題になる。それほどビジネスと人権は重要課題になっている。 ジャニーズは、子どもへの加害、断ると干されるかもしれないという立場を

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