元組員の慶大生、司法試験の勉強中 42歳で算数からやり直した理由

有料記事

福冨旅史
[PR]

 6年前の秋、広島県のJR福山駅近くの住宅街にある小さな学習塾を、ある男性が訪ねてきた。

 東京から来たという。40代で中卒の元暴力団員だといい、塾長の藤岡克義さん(47)に尋ねた。

 「1年で慶応大に合格することはできますか」

 スキンヘッドに分厚い胸板。よく見ると左手の小指がない。藤岡さんは少し困惑しながら、「どこまで行けるかは努力次第です」と答えた。

 「1年での合格確率は0・0003%」とも言った。それでも男性は、「高い目標があればあるほど燃える」と言い、入塾が決まった。二人三脚の受験勉強が始まった。

 それから3年足らずで男性は慶応大に合格した。あこがれだった三田キャンパス(東京都港区)で講義を受ける日々だ。昨春からは司法試験の勉強も始めた。

 暴力団員だった男性はなぜ慶応大を目指し、どのように合格したのか。今もなお勉強を続け、超難関の国家資格を目指す理由とは。

42歳で受験勉強を始めた元暴力団員の男性。アルファベットや算数のかけ算など、小学校の復習から始めたといいます。記事後半では、男性が慶応大の合格をつかんだ勉強法を紹介しています。

 男性は斎藤由則さん(48)…

この記事は有料記事です。残り1877文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2023年9月12日18時16分 投稿
    【視点】

    斎藤さんの経験談は、学び直しに興味があっても迷ったり、悩んだりしている方が一歩踏み出す一助になるかもしれない。 やり直すための学び直し、働きながらの学び直し、子育てや介護をしながらの学び直しなど、さまざまな理由から学び直しに興味や意欲

    …続きを読む