第1回菅氏が「オヤジ」で河野氏が「兄貴」 秋本議員、再エネ促進は利権に

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 2020年12月15日夜、秋本真利衆院議員=受託収賄容疑で逮捕=は、業界団体「日本風力発電協会」の代表理事を務める「日本風力開発」副会長と一緒に東京・赤坂のイタリア料理店にいた。

 遅れてやって来たのは菅義偉首相(当時)。副会長は、原発の立地自治体に出すような交付金について、風力や太陽光などの再生可能エネルギーも対象に加えてほしいと要望した。「地元対策ということでお願いします」と言うと、菅氏は「分かりました」などと答えたという。

 2カ月前の同年10月、菅氏は首相就任後の所信表明演説で、温室効果ガスの排出を50年までに実質ゼロにする「カーボンニュートラル(脱炭素)宣言」を打ち出した。再エネの「最大限導入」を掲げた菅氏との面会を望む副会長に、年の瀬の会食をセットしたのが、菅氏を「オヤジ」と呼ぶ秋本議員だった。

 この日は、日中に洋上風力をめぐる官民の協議会が開かれており、同社の塚脇正幸前社長=贈賄容疑で捜査=も出席。洋上風力発電を「再エネの主力電源化に向けた切り札」と位置づける産業ビジョンがまとまった。

 12年の初当選時から自民党内で「脱原発」を主張し、再エネ議員連盟の事務局長を務めた秋本議員。業界関係者は「再エネ関連で頼れる議員がいない中、業界と党の唯一の窓口で、菅さんらとも近い。世間的には無名かもしれないが、業界では誰もが知っている圧倒的な存在」と評した。

クリーンなエネルギー「風力」をめぐり、イメージとかけ離れた汚職事件が起きた。現職国会議員の逮捕に至る背景に何があったのか。

「国会で一緒に仕事しないか」

 出身地の千葉県富里市で2011年まで市議をしていた秋本真利衆院議員=受託収賄容疑で逮捕=は、母校の法政大の大学院で、原発に批判的な河野太郎・現デジタル相の講義を受けたことがあった。

 核燃料サイクルの仕組みを問…

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