「単なる前倒しじゃダメ」 マリノスが始めた新チケット戦略の舞台裏
藤野隆晃
Jリーグの横浜F・マリノスは今年から、ピッチの外で新たな挑戦を始めた。
「気づいている人は少ないと思うんですけど、最長は76日間という試合もあったんです」
そう、マーケティング&コミュニケーション部長を務める永井紘さん(39)が説明したのは、チケットの販売期間のこと。例年、試合日前月の初めだった販売開始時期を、5月のホーム戦から前倒ししている。コロナ禍前の2019年と比べると、販売期間は平均して20日ほど延びている。
狙いは新規層の取り込みだ。
横浜マが昨季リーグ優勝を果たしたことに加え、ワールドカップ(W杯)カタール大会で日本代表が健闘したことでサッカーそのものへの関心が高まったと永井さんはみている。「今季は新しいファンが増えると予想していた。その層がどうすればスタジアムに来てくれるか、というのを逆算した」
野球などと比べて、試合数が限られるサッカー。1カ月あたりのホーム戦は2~3試合と、選択肢が少ない。「1カ月あたりのホーム戦を増やせないなら、販売期間を長くすることで選択肢を増やそう」という発想だった。
ただ、簡単に事は運ばなかっ…