若年女性に広がる市販薬の過剰摂取 救急搬送122人「氷山の一角」

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米田悠一郎
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 市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)で救急搬送された人は、2021年5月~22年末に全国7救急医療機関で122人いて、10~20代や、女性がともに約8割を占めていたことが、厚生労働省研究班の調査でわかった。「自傷・自殺」目的が最多。研究班の一人は死につながる危険があるとして、社会での支援の必要性を訴える。

 研究班によると、市販薬の過剰摂取による救急搬送に関する疫学調査は初めて。調査対象以外の医療機関への搬送や、医療につながっていない人も含めると、さらに多くの過剰摂取者がいるとみられ、研究班は「122人は氷山の一角にすぎない」としている。

 市販薬は医師の処方がなくてもドラッグストアやインターネットで購入できる。一方、依存性のある成分が含まれているものがあり、治療目的以外での使用や決められた回数や量を上回って服用するケースがあった。こうしたことから、生きづらさを抱える若年者の間で過剰摂取が増えているとの指摘がある。

 研究班は、全国の救急医療機関7施設から、市販薬の過剰摂取後に救急搬送された122人の登録を受け、背景などを調べた。

 122人のうち、男性は25人(20・5%)、女性は97人(79・5%)、平均年齢は25・8歳、最年少は12歳だった。10代が43人(35・2%)、20代が50人(41・0%)で、20代までが約8割を占めた。若い女性に多い傾向がみられた。

 搬送時の症状は嘔吐(おうと)や不整脈意識障害などが見られた。113人(92・6%)が入院、うち69人が集中治療室で治療を受けた。死者はいなかったが、11人に臓器障害などの後遺症が残った。

 調査にあたった埼玉医大臨床中毒センターの喜屋武(きゃん)玲子医師によると、過剰摂取をすれば、意識レベルが低下し窒息や誤嚥(ごえん)により、最悪の場合は死に至ることがある。意識が下がって体が思うように動かず、性被害などに巻き込まれる可能性もあるとする。

 薬の入手経路はドラッグスト…

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