当事者「パレード通じ理解を」 多様な性理解条例案の提出見送り受け

波絵理子 土井良典
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 多様な性のあり方や性的少数者について県民の理解を深めるための条例やパートナーシップ宣誓制度をめぐり、石川県が当初目指していた県議会9月定例会への条例案提出を見送ったことを受け、県内の当事者らでつくる一般社団法人「金沢レインボープライド」(KRP)が5日、会見を開き、落胆と今後への課題を語った。

 条例案は馳浩知事の肝いりで、5月から有識者会議で議論が始まった。しかし、8月に募ったパブリックコメントで否定的な意見が多数を占めたほか、ベテラン県議からも議論が足りないとの声が上がったため、知事による条例案提出が見送られた。

 KRPは、来月7~9日に「金沢プライドウィーク」と題して、性的少数者に関するパネルトークやパレードを開く準備を進めている。条例案が9月議会で可決されれば、お祝いのパレードとなる見込みだった。

 事務局の奥村兼之助さんは、会見で「慎重論が出るのは分かる。ただ、本当に困っている人の姿が見えているのか」と懸念を示した。KRPの共同代表で、有識者会議の委員も務める松中権さんは「残念だ。多くの人に知ってもらうために、このイベントを活用してほしい」と話し、県議にイベントへの招待状を送る考えを示した。

 この日は県庁で知事会見もあり、馳知事は条例案の提出見送りについて、当事者にどう伝えるのか問われると、「時間がかかることも必要です、と申し上げたい。当事者が不安を抱えているということを県民にご理解いただけるようにしたい」と話した。(波絵理子、土井良典)

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 LGBTQ+(性的少数者)への理解促進を目指すイベント「金沢プライドウィーク」が10月7~9日、金沢市内各所である。

 一般社団法人「金沢レインボープライド」(KRP)の主催。7日はKRPの拠点施設「金沢にじのま」でパネルトークが、8日は大樋美術館で十一代大樋長左衛門さんによる茶会などがある。

 9日は、しいのき迎賓館前でプライドパレードがあり、モデルでタレントのアンミカさんが夫婦で参加する。エッセイストの小島慶子さんや作家の乙武洋匡さん、日本文学研究者のロバート・キャンベルさん、馳浩知事も歩く。パレードの参加は事前登録が必要。詳しくは公式ホームページへ。

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