クレカのタッチ決済改札、順風満帆といえない理由 導入予定ない社も
交通機関でクレジットカードのタッチ決済が広まり始めている。「Suica」「PASMO」など交通系のICカードと違うのはチャージの手間が省けること。ICカードをもたない外国人観光客の利便性も高まるが、日本ならではの鉄道事情が普及のネックになっている。
東急電鉄は8月30日から田園都市線、世田谷線の1日乗車券を使う際、クレカでも改札を通れる実証実験を始めた。新しい改札機には、ICカードをタッチするパネルの手前に、クレカやQRコードを読み取る装置がついている。今年度中にほぼ全線で専用改札を設け、使えるようにする。
さらに来年春以降は1日乗車券以外の通常の乗車でもタッチ決済を採り入れる方針だ。同社の稲葉弘広報・マーケティング部統括部長は「デジタル上で乗降駅や滞在時間など動向が分かるので、沿線の商業施設と乗車券を連携した商品もつくりたい」と話す。
クレカ大手の三井住友カードによると、カードブランド「Visa(ビザ)」のタッチ決済は、欧米を中心に680以上の交通機関が導入。さらに800ほどが導入を検討している。チャージ残額を気にせず乗れるうえ、外国人観光客はわざわざ現地のICカードを買わずに済む。
キャッシュレス化が遅れた日本では、2019年にタッチ決済機能がついたカードが急速に使われるようになり、その後交通機関でも導入が始まった。
まだ少ない全線対応
ただ、鉄道では全線でタッチ決済に対応している例はまだ少ない。
福岡市地下鉄では、22年5…
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