気候テックの目利き、「北欧のニンジャ」に聞く 欧州流のしたたかさ

有料記事気候変動を考える

聞き手・香取啓介
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 世界で気候変動対策をビジネスチャンスと見て、「気候テック」の起業が熱を帯びています。北欧を拠点に欧州の気候テック関連のスタートアップに投資をしているベンチャーキャピタル「ノルディック・ニンジャVC」創業者の宗原智策さんに、欧州流のしたたかさと、日本の勝ち筋について聞きました。

 ――2019年1月に気候テックの投資ファンドを立ち上げました。どんな会社ですか。

 欧州にフォーカスをしたベンチャーキャピタルです。日本企業を中心に資金をお預かりして、現地のスタートアップに投資をしています。

 日本企業が見ているテック市場はシリコンバレーイスラエル、東南アジアが中心です。欧州は市場規模に比べてあまり注目されていませんでした。

 ただ、たとえばDX(デジタル・トランスフォーメーション)はスウェーデンが発祥です。行政サービスのデジタル化ではバルト地域のエストニアや、デンマークが進んでいます。世界で最もデジタルマインドが高い地域です。

 それに加えて、人口あたりのスタートアップ数やユニコーン数は世界トップクラスです。

 もともと環境意識の高いところからくるサステイナビリティーや気候変動への意識がある。この三つの要素から面白いんじゃないかと思ってファンドを立ち上げました。

 ――気候テックを投資先に選んだ理由は?

 私はもともと国際協力銀行再生可能エネルギーやカーボンクレジット向けのファイナンスの業務をやっていました。

 気候テックは非常にポテンシャルが高いと思っています。ここ2年、新型コロナが発生して、ウクライナ危機が起きて高インフレで、世界的な不況が見えてきました。でも、どんなことが起きたところで気候変動は、止まりません。

 気候変動対策という大きなマーケットは常に存在していて、それに対するソリューションを世界が求めているということです。

 日本では気候変動は環境問題だととらえられがちですが、欧米ではビジネスチャンスです。特に欧州連合(EU)は鼻息が荒い。地球規模課題のルールづくりに積極的に参加しています。

 北欧は全部、小国の集まりです。合わせても3千万人に到達しない。日本の首都圏よりも少ない。より存在感を出すためにルールづくりのキャスティングボートを握ろうとしています。

「地球を守りたい」という善意よりも

 ――具体的な例は?

 たとえば欧州がつくったサス…

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