カジノ反対の元参院議員サイトが「カジノ推奨」に 誰が何のため?

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田中恭太 編集委員・須藤龍也

 公式サイトを閉鎖したら、同じURLで偽サイトが開設された――。共産党の大門実紀史(みきし)・前参院議員(67)が1日、こんな被害に遭っていると、会見を開いて明らかにした。大門氏の公式サイトを装っているが、オンラインカジノ業者へのリンクがある。大門氏が所有していたドメイン(ネット上で組織や個人を表すアドレスの部分)を何者かが取得し、「跡地」に偽サイトを作ったとみられる。

 大門氏は2001年に繰り上げ当選して以来、参院議員を4期21年務めた後、22年7月の参院選で落選した。

落選後、サイトを閉鎖

 1日に会見した大門氏によると、同8月までに公式サイトを閉鎖し、自身の名前をアルファベット表記した文字列を使ったドメインの所有権も放棄した。今年3月になり、同じドメインで偽サイトが開設されていることに気付いた。

 偽サイトには、大門氏のプロフィルや写真が掲載され、大門氏の議員活動を紹介するサイトのように見える。

 しかし、「ブックメーカーに興味のある方は、海外で合法的に運営されている人気のブックメーカーに登録してみましょう」などとオンラインカジノの利用を促す文章とともに、カジノを紹介する外部サイトへのリンクが張られている。

名誉毀損などで告訴

 大門氏は弁護士らに相談し、サイトが開設されているサーバーの運営会社を特定。開設者の情報開示などを求めている。1日には、議員として一貫してカジノ誘致に反対してきた自身への名誉毀損(きそん)などにあたるとして、警視庁に告訴状を出したという。

 大門氏は「こういうことが横行すると、党派に関係なく政治活動に重大な被害を与える。こんな被害が起こりうることを知ってもらいたい」と話した。

 共産党では、田村智子参院議員=比例区=が次期衆院選で衆院にくら替えする予定で、昨年の参院選比例区で次点だった大門氏が繰り上げ当選する可能性が高い。大門氏は「(偽サイトを)ほったらかしにしておくわけにはいかない」とも述べた。田中恭太

こうしたサイトは誰が何の狙いで作っているのか。後半では専門家に見解を聞きます。

「ドロップキャッチ」とは?

 偽サイトの狙いは何なのか。

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 立命館大学の上原哲太郎教授…

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