なお残る「木密」、全国に 死者想定6千人の東京は解消の「先進地」

 1923(大正12)年に起きた関東大震災から9月1日で100年となる。死者・行方不明者は、国内災害史上最悪の約10万5千人。うち87%に当たる約9万1千人が火災に巻き込まれた。その一因となった木造建物の密集という課題は、今も東京や各地の大都市圏に残っている。

 東京都によると、震災時に延焼の危険性が高いとされる「木造住宅密集地域(木密)」は、20年の調査で都内に約8600ヘクタールある。

 東日本大震災を受け、都は12年に「木密地域不燃化10年プロジェクト」をスタート。各年度8億~28億円ほどを充てて、建物解体費などの助成や建て替え後の住宅の固定資産税減免などに取り組み、延焼しにくい街づくりを促してきた。

 22年に発表した首都直下地震時の都内の被害想定は、死者最大約6200人、火災・倒壊の建物約19万4400棟。10年前より3割以上減ったものの、なお甚大な被害だ。木密解消に向けた大規模な区画整理などには住民の合意形成が不可欠で、各地の住民の高齢化などが壁となっている。

 また、延焼の危険や避難の難しさを考慮して国土交通省がまとめた「地震時等に著しく危険な密集市街地」は12都府県に計1875ヘクタールある(22年度)。

 東京都の「木造住宅密集地域」とは定義が違うため面積が大きく異なるが、1位は大阪(895ヘクタール)、2位は神奈川(301ヘクタール)、3位は京都(220ヘクタール)で東京(83ヘクタール)は6位。都内はタワーマンション建設など近年、再開発が急増しており、危険な密集市街地の減少に影響しているとみられる。

 関東大震災の惨劇を招いた危険な市街地の対策は、今も、東京に限らず大都市の課題となっている…

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