「全人類に対する罪 核下水排出」 日本のルーターが画面改ざん被害

編集委員・須藤龍也
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 日本にあるインターネットのルーター機器がハッキングされ、東京電力福島第一原発処理水放出に抗議する内容のメッセージが表示されるよう、画面が改ざんされる被害が起きていることがわかった。サイバー攻撃を受けたとみられる。

 この機器は、セイコーソリューションズ(千葉市)が発売する「SkyBridge」と「SkySpider」。ハッキングを受けると、機器の内部にアクセスする際の認証画面が改ざんされ、「日本政府は独自路線を貫き、全人類に対する罪である核下水を排出している」などのメッセージが表示される。

 同社によると、28日夕に被害を把握し、台数などは調査中という。記者が確認したところ、29日午前の段階で少なくとも約1500台の機器の被害が確認された。

 この改ざんに関わったと見られる人物らのSNSアカウントが27日、改ざんした画面と共に「これは私たちの最初の警告である」などとするメッセージを投稿していた。

 この2種のルーターについて、同社はプログラムに欠陥があったとして今年2月、修正プログラムを配布していた。今回被害にあったのは修正プログラムを入れていない機器とみられ、同社は速やかに適用するようサイト上で呼びかけている。

 機器の管理者のIDとパスワードがネット上に提示されていることも判明した。新たな不正侵入を受ける恐れがある。

 立命館大学の上原哲太郎教授(サイバーセキュリティー)は、「一番懸念されるのは、機器にウイルスが仕込まれることだ。修正プログラムを適用し、機器の初期化とパスワードの変更を行うべきだ」と指摘する。

 同社は取材に対し、新たな乗っ取り被害の危険性があるとして、「被害の回復と防止が可能になるため、一刻も早くプログラムを修正してほしい」と訴えている。(編集委員・須藤龍也)

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