図書館での「過剰購入」、ルール作り検討へ 急減する書店の支援策

宮田裕介

 図書館がベストセラーを過剰に購入しないように、ルール作りを――。国がそんな検討の場を今秋にも設ける。急減している書店の支援策として、自民党の議員連盟が出した提言を受けたものだ。

 文部科学省で開かれる会議には、書店や出版の関係者、図書館関係者らが参加。公立図書館で同じタイトルの本を過剰に持つことの禁止や、地元書店からの優先仕入れの推奨、新刊本の発売から購入までに一定の期間を空けることなどについて、ルール作りが必要かどうか議論する。

 政府関係者は「人気本の所蔵数などの制限ありきではなく、ゼロベースで話し合ってもらう。書店と図書館が敵対するのではなく、共存関係で読書推進につなげる議論をしたい」と話す。

 書店の経営は厳しさを増している。業界団体・日本出版インフラセンターの調査によると、全国の書店は1万1495店(2022年度)と、10年前から約3割減った。地方だけでなく、都心部の有名書店や大型書店も相次いで閉店している。

 出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によると、書店が一つもない「書店ゼロ」の市区町村は全国で26・2%。「書店ゼロ」と「1店舗だけ」の自治体を合わせると、45・4%だった。人口減や雑誌の売り上げの急減、ネット書店で本を買う人が増えたことなどが背景にある。

 書店業界から支援の要望を受けた自民党の議員連盟は今春、図書館との連携促進やアマゾンなどのネット書店との競争環境の整備などを求める提言をとりまとめた。(宮田裕介)…

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