神大跡地利用で報告書

足立朋子
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 3月末に閉鎖され、神奈川大学が売却を表明している湘南ひらつかキャンパス(神奈川県平塚市土屋、約31ヘクタール)の跡地利用について、地域住民や有識者を交えて5月から話し合ってきた同大の協議会が23日、最終報告をまとめた。

 参加者の意見集約や、同大の売却交渉の現実などから「他大学へのバトンタッチは難しい」とし、大学に限られている土地利用を、別の用途でも開発できるよう、都市計画法に基づく手続きを進めていくべきだと結論づけた。今後、大学の理事会などにはかった上で、9月に国や県、市に報告書を提出する。

 利用の具体的な方向性については、防災公園などに代表される「安心・安全な生活環境」のほか、「雇用の創出」、「賑(にぎ)わいの創出」の三つをめざすとした。同大が売却先を決める際の選定基準に位置づけるという。

 現在、市街化調整区域にある土地の用途変更については、時間がかかる市街化区域への編入ではなく、地域がまちづくり計画をつくり、市が認定して開発が許可される、都市計画法上の「地区計画」策定の手法を採ることが妥当とした。

 報告書を元に、地区計画策定に進むには、新たな民間側の「地区まちづくり協議会」の設立が必要となる。ただ、売却先のめどがついた段階での構想となるため、神大の斎藤勁副理事長は「設立の時期などは未定」と語った。

 参加した住民代表からは「雲をつかむような話で、もっと的を絞って議論を進めたい」、「神大を誘致した行政は撤退にも責任があり、もっと積極的に関与すべきだ」といった意見も出た。

 ひらつかキャンパスは1989年開設。平塚駅から約10キロの同市西部の山林を、同大が県住宅供給公社から買収して造成した。東京ドーム約7個分の敷地に校舎など14棟と野球場や陸上競技場などがある。自前の排水処理施設の整備なども含め、数百億円を投資してきたという。経営学部と理学部にピーク時は約4千人が通っていたが、学生の都心回帰志向が強まるなか、横浜市のキャンパスに順次移転。今春、34年の歴史に幕を閉じた。(足立朋子)

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