ミャンマーの停電は「愚か者」のせい 批判したラッパーに禁錮20年

ヤンゴン=笠原真

 クーデターで国軍が権力を掌握したミャンマーで、各地で続く電力不足を理由に国軍をSNSで批判したとして、ヒップホップ歌手に禁錮20年の有罪判決が言い渡された。国家を破壊しようとした扇動の罪で起訴されていたという。

 米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が23日に報じた。報道によると、有罪判決を受けたのは最大都市ヤンゴンのラッパー、ビュハー氏。1988年に起きた民主化運動で反軍の歌を広め、運動の象徴的存在となった同国の著名音楽家ナインミャンマー氏の息子だという。

 ビュハー氏は今年5月23日、フェイスブックに投稿した動画で、国内で頻発する停電をめぐり、電力相を「十分に電力を供給できない愚か者」などと批判。さらに、「この国を統治している人物も無能な愚か者」とも述べて国軍を糾弾し、動画を投稿した当日に逮捕されたという。

 ミャンマーでは2021年2月のクーデター以降、国軍と民主派勢力による武力衝突で送電網が攻撃を受けるなどし、各地で電力不足が慢性化している。ヤンゴン市内も毎日複数回の停電が日常になっており、3~5月ごろの暑い季節にも冷房が使えないなど市民生活に支障が出ている。(ヤンゴン=笠原真)…

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