中国による日本水産物禁輸は「長期化する」 習近平政権にちぐはぐさ

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牧野愛博

 中国が日本の水産物の全面禁輸に踏み切りました。台湾の頼清徳(ライチントー)副総統の米国立ち寄りや日米韓首脳会談にも反発しています。台湾に滞在中で、中台関係などに詳しい東京大学東洋文化研究所の松田康博教授は当面、中国が過激な軍事行動などに出る可能性は低いと指摘する一方、禁輸問題は長期化すると語ります。

 ――水産物の全面禁輸にある背景をどうみますか。

 中国では、真実が何であるかの決定権を、共産党が握っています。日本の処理水を「危険な核汚染水」であると定義して、外交的な圧力をかけ始めた時点で、自動的にこうなると予想していました。

 また、中国では他国との関係悪化促進は非常に速く実施できますが、いったん悪化した関係を改善するのには相当長い時間をかける傾向にあります。この問題は長期化するでしょう。

 こうした非科学的かつ政治的…

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