「オッケー」「オーライ」互いに聞こえず落球 仙台育英〝魔の五回〟

福留庸友
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 「魔の五回」となった。1点差を追うこの回から高橋煌稀投手(3年)が2番手で登板。2死を取った後、5点を奪われた。

 象徴的だったのは2死二、三塁の場面。慶応の丸田湊斗選手(3年)の打球が左中間に高く打ち上がった。中堅手の橋本航河選手(3年)は自分が捕るつもりで声を張り上げた。「オッケー、オッケー。どけどけ」。左翼手の鈴木拓斗選手(2年)も「オーライ、オーライ」と叫んだ。でも、お互いに声は聞こえなかった。交錯し、橋本のグラブからボールはこぼれ落ち、2点を失った。

 甲子園はアルプス席だけでなく、三塁側内野席から左翼スタンド席まで半分ほどが慶応の応援で埋まっていた。地鳴りのように応援歌が響き、声が聞こえないのは無理もなかった。

 橋本選手は「球場が一体になって応援されていた。選抜(の対戦)でもすごかったがアルプスのみだった。想像以上だった」。

 橋本選手と鈴木選手は、閉会式中も涙がとまらなかった。鈴木選手は「来年は自分たちが引っ張って、また日本一になれるようにがんばっていきたい」。前を向いた。福留庸友

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