第5回馳知事の会見拒否めぐる報道「各社反応悪い」 上智大・音教授
会見拒否問題を考える
石川県の馳浩知事の会見拒否問題をめぐっては、メディアにも報じ方に大きな差が出ている。馳知事への申し入れにも各社で判断が分かれた。有識者はどう見ているのか。上智大学メディア・ジャーナリズム研究所所長の音好宏教授(メディア論)に聞いた。
――メディアが一連の問題に抗議する申し入れに賛同したのは、県政記者クラブに加盟する14社のうち8社でした。
今回の出来事とそれに関する報道を見ると、石川だけの問題ではなく、まさに日本の今のメディア状況を表す事態だと感じました。
本来なら、会見拒否に至る前段階で、全国的なニュースになるべき重要な事柄だったのに、各社とも反応が非常に悪かった。馳知事が定例会見を開かなくなったタイミングでようやく、ぽつりぽつりと報道する社が増えた。ただ、その報道も量や中身が十分かといえばそうではありません。
会見拒否問題は、日本のジャーナリズムのあり方を考えるうえでも大事な問題なのに、そういった視点がない。それが、今のメディアの状況だと思います。
――そうならなかったのは、石川県特有の事情があったのでしょうか。
全国的な問題ではありますが、石川県の風土的、属人的な事情も無視はできません。今回の発端になったのは、富山のチューリップテレビから石川テレビに移ってきた五百旗頭幸男さんが撮影したドキュメンタリー映画です。五百旗頭さんは前職でも、忖度しない取材と独特な構成力で多くの賞を受賞されるなど、実力派ドキュメンタリストとして、広く知られています。
本人にそういう思いがないとしても、石川テレビに在籍していることを「一時的な止まり木」、つまり、「外野の人が言っている」と捉える地元メディア関係者もいると聞いています。そのような意識は、地元の問題として認識させにくくしているかもしれません。
記事後半では、石川県のメディアの特徴や、地方メディアの構造的な課題について聞きました。取材後記もあります。
また、石川の場合、地元紙が…
- 【視点】
新聞読み比べが好きな私ですが、きっかけの一つは「活字プロレス」でした。80~90年代のプロレス週刊誌はかなり売れていて、その要因には熱い試合レポートがあった。何が面白いって、同じ試合を見ているのに書く人によって視点がまったく違うのです。なの
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