受動喫煙防止条例の効果は限定的?急性心疾患、神戸では減ったけど…

鈴木春香
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 兵庫県受動喫煙防止条例が施行されてから、急性心筋梗塞(こうそく)などの減少がみられたのは神戸市のみ――。そんな研究結果を、県立尼崎総合医療センターの藤原久義名誉院長らがまとめた。条例を作るだけでなく、認知度を高める取り組みがカギを握るのではないかと分析している。

 県では2013年4月、都道府県で2番目に受動喫煙防止条例が施行。学校や病院、官公庁など多くの人が出入りする空間での禁煙が義務付けられた。

 藤原さんらはその後7年間、日本循環器学会の診療実態調査のデータを使い、急性心筋梗塞と不安定狭心症の入院患者数の推移を地域ごとに分析した。

 抽出された病院の患者数を見ると、神戸市では13~19年度にかけて約3割減ったのに対し、阪神地域やその他の県内地域では減少がみられなかったという。

 神戸市と尼崎市が対象の別の研究では、条例の認知度や禁煙店の割合が神戸市でより高かった。藤原さんは「行政による条例の周知や市民の意識の高さが関係しているのではないか」。

 神戸市の担当者は結果に喜びつつ、「他の地域と比べて啓発がよくできていたのかどうかは分からない」と首をかしげた。

 さらに研究では、患者の減少は喫煙習慣や高血圧などのリスク要因のないグループでみられ、リスク要因のあるグループでは減少しなかったことも分かった。

 喫煙習慣などがなく健康志向の高い人の方が条例に敏感に反応し、受動喫煙を避ける行動につながったのではないかという。

 藤原さんは「もしそうなら、リスク要因のある人に集中的に広報するなどの対策が考えうる」と話した。

 研究論文は22日、日本循環器学会学会誌「Circulation Journal」に掲載された。(鈴木春香)

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