38年にわたりカンボジアの首相を務めたフン・セン氏(71)が退任し、長男のフン・マネット新首相(45)が22日、政権に就いた。国軍では陸軍司令官まで務め、欧米で経済学の学位も取得した文武両道のエリートだ。一方で政治方針は語っておらず、その手腕はベールに包まれている。
「カンボジアにとって歴史的な瞬間だ」
22日午前、国会で新内閣のメンバーが承認されると、フン・マネット氏は演説でこう話した。
さらに、1970年代のクメール・ルージュ(ポル・ポト派)による自国民虐殺の歴史に触れ、父フン・セン氏が率いた政権について、「国民を救うために犠牲と努力を払い、祖国の発展のためにたゆまぬ努力をした」と称賛。議場に集まった議員に対し、「次世代を担う我々が見習わなければならない英雄の模範だ」と呼びかけた。
フン・マネット氏はポル・ポト派が実権を握っていた1977年、東部コンポンチャム州で生まれた。ポト派の軍人だったフン・セン氏が過激な共産主義思想に反発し、隣国ベトナムに亡命中のことだ。
85年に首相に就任した父が6年後のパリ和平協定で調印し、長きにわたった内戦が終結した後の95年、陸軍に入隊した。ここから欧米との縁を深めていく。
99年に米国の陸軍士官学校をカンボジア人として初めて卒業した。さらに、米ニューヨーク大学で経済学の修士号、英ブリストル大学で博士号を取得する。父の威光だけでなく、軍事と学問の両面で実績も積み上げてきた。
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帰国後は、対テロ特殊部隊の…