生物多様性守る地域の取り組み、亀山市が応援 認定制度スタート
山本知弘
「生物多様性」を守る地域の取り組みを後押ししようと、三重県亀山市が独自の認定制度を始めた。全国でもまだ珍しい仕組みといい、活動をする市民や企業などの「動機付け」につなげるねらいがある。人材育成や経済活動にも役立ててほしいという。
始めたのは「かめやま生物多様性共生区域認定制度」。対象となる土地は、農地や寺社の境内、企業の敷地内の緑地などで、所有者や管理者が申請できる。面積は問わないが、管理内容が明らかで、生物多様性に貢献していることなどが条件になる。今年度分の申請を8月31日まで受け付けている。
山や川、森林などの自然環境に恵まれた亀山市内には6800種類近い生き物が生息しているとされる。こうした豊かな環境を守り育て、未来につなげたい――。制度にはそんなねらいがある。特に国定公園などで保護されている地域以外での取り組みを促したいという。
昨年カナダであった国連の生物多様性条約締約国会議(COP15)では「陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する」という2030年までの目標が採択された。亀山市内では国定公園などで市域の2割は保全されており、残る部分を補うことが課題になっている。桜井義之市長は「民間レベルでの取り組みが極めて大事になる」と制度の意義を話す。
申請のあった取り組みは専門家らが審査し、条件を満たせば認定書を発行する。認定地域内でつくられた産品にマークをつけ、環境ブランドとして利用することも認める。
今年度はまず2件ほどの審査・認定をめざし、来年度からは4、5件に増やしたいという。