日米韓首脳ら、年1回の協議と軍事訓練を合意 中国・北朝鮮を念頭に
岸田文雄首相は米ワシントン郊外の大統領専用山荘「キャンプデービッド」で18日昼(日本時間19日未明)、米国のバイデン大統領、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と会談した。首脳らによる定期協議の開催や緊急時の迅速な協議などで合意し、日米韓の安全保障協力を強化するための「制度化」を図った。北朝鮮に加え、軍事・経済・技術の各方面で台頭する中国への対抗を強く意識した。
3首脳が国際会議などに合わせず、会談のために集まるのは初めてで、ワーキングランチを含めて約2時間行われた。会談後の記者会見で、岸田氏は「日米韓3カ国の安全保障協力を新たな高みに引き上げる」と強調。バイデン氏は「日米韓協力の新たな時代」、尹氏は「キャンプデービッドは韓米日が域内の安全保障で中心的な役割を担うと明らかにした歴史的な場として記憶される」と述べ、いずれも日米韓の連携が新たな局面に入るとの認識を示した。
会談後には日米韓の協議に関する約束(コミットメント)の文書を発表。「共通の利益及び安全保障に影響を及ぼす地域の挑戦、挑発、脅威」に連携して対応するため、速やかに協議し、情報共有や対外発信を行うとした。
中長期の指針を示す「キャンプ・デービッド原則」も発表された。ウクライナ侵攻を続けるロシアや海洋進出を強める中国を念頭に、法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋」を推進すると強調。主権や領土一体性、紛争の平和的解決など国連憲章の原則を堅持するとした。
また、共同声明「キャンプ・デービッドの精神」では、日米韓連携の具体策を示した。首脳や外相、防衛相らそれぞれが少なくとも年1回協議することや、自衛隊と米韓両軍による3カ国共同訓練の毎年実施などを列挙。経済安全保障も重視し、中国の「経済的威圧」を念頭に、重要鉱物などのサプライチェーン(供給網)の安定化を図る「早期警戒システム」の試験運用開始に向けて連携するとした。
日米韓の枠組みは、これまで核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応を中心的な議題としてきたが、三つの文書は対中戦略の意味合いが色濃い内容となった。尹氏は「多様な水準と分野において、3国の協力の制度的な基盤を構築した」と評価した。
- 【解説】
日米韓関係は、日米、米韓という2つの同盟で結びついてきた、不十分な三角協力でした。もちろん最大の弱点は日韓関係が政治的に困難さをもっていることですが、最近では日米が米中対立、とりわけ台湾有事を念頭におくことが多くなり、北朝鮮問題が優先される
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