第4回インボイスが衰退の引き金に…焦る個人タクシー業界、3年越しの対策

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中野浩至

 10月に始まるインボイス(適格請求書)制度は、個人事業者だけでなく、会社勤めの人たちにとっても無関係ではないかもしれない。

 制度に対応した領収書や請求書しか経費精算を認めない、という会社が出てくる可能性があるからだ。

 経費として精算できないなら、使わない――。そんな理由で客を失いかねない事態に、動き出した事業者もある。

 消費税は売上時に得た消費税から、仕入れにかかった消費税を控除して納める。インボイス制度が始まると、この控除をするために仕入れ先からインボイスの発行を受けなければならない。

 個人のタクシー事業者約5500人が所属する東京都個人タクシー協同組合。水野智文副理事長によれば、かつては加盟する約99%が年間売り上げ1千万円以下で、消費税の納税が免除された「免税事業者」だった。

 免税事業者の個人タクシーはインボイスを発行できない。こうしたタクシーに乗った会社員が乗車料金を精算すれば、税負担が増えるために精算に応じない会社も出てくる可能性がある。

「淘汰される」

 そうすると、インボイスを発…

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この記事を書いた人
中野浩至
東京社会部
専門・関心分野
税務、独占禁止法、事件・事故
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    磯野真穂
    (東京工業大学教授=応用人類学)
    2023年8月28日17時15分 投稿
    【視点】

    昨年私はあっさりと課税事業者になりました。2名の税理士さんに相談し、課税事業者になった方が、私とお仕事をする事業者が助かるだろうという意見をもらったからです。 とはいえ、インボイス制度に賛成というわけでもありません。 会社勤めの

    …続きを読む