第3回一家離散、宗教2世の犠牲… なぜ彼らは餓死するほど教祖を信じたか
アフリカのケニア東部で今年、カルト教団の信者が断食によって集団餓死を図り、400人以上が遺体で見つかる事件がありました。「餓死すればキリストに会える」。グッド・ニュース・インターナショナル教会の教祖ポール・マッケンジー容疑者は、信者たちにそう説いていました。
財産を売り払っての献金、一家離散、親に連れられて入信した「宗教2世」……。日本でも社会問題になったような信者たちの窮状が伝えられています。人々はなぜ、過激な新興宗教に多くを捧げることになったのでしょうか。宗教の過激化に詳しいケニアのモンバサ工科大講師ファティマ・バドルディーン氏に聞きました。
――教団の存在は知っていましたか。
私を含め多くの人々が存在は知っていました。マッケンジー容疑者は、子どもたちに「学校に行かなくてよい」と教えるなど、過激な説教をしていました。物議を醸す内容でしたが、本当に深刻な問題として捉える人はいませんでした。
入信したきっかけは
――なぜ教団は、多くの信者を集められたのでしょうか
マッケンジー容疑者は、アルコールやドラッグの使用を止めさせるように導く説教が上手で、依存者を救うことができました。アルコール依存者やドラッグ使用者の夫を持つ妻たちにとって、すばらしいことです。しかしこれは、説教を通じて、薬物から宗教へと依存の対象が移っただけでした。彼らは(当初)、教団がこれほど過激な陰謀論や終末思想を抱いていると思わず、単に良いものと思っていたでしょう。
ケニアに限らず世界中で、私…
- 【視点】
連載「餓死カルト ケニアで何が起きたか」(全3回)の最終回。日本社会での旧統一教会問題と同時進行的に、世界ではどのような問題が起きているか捉えるために、読んでおくべき内容。 細かいことだが、第3回で気になったのは、「宗教2世」関連の語
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