第3回ダイヤモンドオンライン「独自スクープのつくり方」有料会員3万超え
【連載】経済ニュースの新旗手たち
ニュースを報じる営みは、これからどう変わっていくのでしょうか。有料の経済メディアとして新境地を切り開く3人に、読まれるための工夫や読者との関係性づくりの方法など、根掘り葉掘り聞いていきます。
経済誌「週刊ダイヤモンド」を発行し、100年以上の歴史を誇る老舗出版社のダイヤモンド社。4年前にデジタルのサブスクリプション(定額制)モデルを導入し、順調に有料会員を伸ばしています。
その背景や戦略について、デジタル化を牽引(けんいん)し、6月末までダイヤモンド編集部の編集長を務めた山口圭介さんに話を聞きました。
――サブスクでよく読まれた記事を教えてください。
昨年配信した「セブン DX敗戦」です。編集部が独自に入手したDX(デジタル化)戦略を検証する内部資料や社外秘の社内会議の動画などをもとに、巨費を投じて進められてきた戦略が崩壊に至った舞台裏を全15回の特集で迫りました。
――どれくらい読まれましたか。
配信3日間で有料会員の獲得数が1千人を超え、最終的には2千人ほどに。ひとつの特集で100を超えれば及第点とされるので、驚異的な数字といえます。
プレスリリースを元にした記事は禁止
――なぜ、読まれたと。
「ここでしか読めないコンテンツ」だということが極めて大きいです。強い独自性を打ち出すことができれば、読者は「課金の壁」を越えます。編集部では、発表されたプレスリリースを記事にすることを禁止していますが、デジタル化以降、「賞味期限の短い」ストレートニュースではなく、忖度(そんたく)なしで業界の最深部に迫る独自のコンテンツづくりに一層こだわっています。
あとは、逆張りがうまくきいたことも要因でしょう。
――逆張りですか。
セブンのDXは、他のメディ…
- 【視点】
「良いコンテンツを作れば収益になるという世界観が幻想だった」という言葉が重いが、学べる点は多い。 『週刊ダイヤモンド』の体制や方法を引きついだ部分も感じられるが、デジタルでのノウハウの蓄積も感じ取れる。「どんなテーマを書けば会員が取れるか
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