母は「飛行機工場の少女」だった 手記につづった勤労動員と悔恨

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森治文
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 それは10年ほど前、穏やかな陽気の日だったと記憶している。東京都青梅市で100年以上続くうなぎ・割烹(かっぽう)の老舗「寿々喜家(すずきや)」を80代とおぼしき数人の女性が訪ねてきた。

 「店が続いていて本当によかった。立派に跡を継がれてますね」

 4代目店主の枝久保敦郎さん(51)は、そう声をかけられて戸惑った。そして、続く話に仰天する。「私たちは戦争中にあなたの店に寝泊まりし、飛行機をつくっていたんです」

 女性たちの手に1冊の手記があった。

 「飛行機工場の少女たち 女学生勤労動員の記録」。編集は都立武蔵高女青梅寮生の会、発行は1974(昭和49)年とある。

 「この前年にここで同窓会を開いたことをきっかけに、手記が生まれました」

「純粋な心一途にお国のためにと」

 「昭和十九年五月二十九日だ…

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