「見返り」求めるサウジ 険しい道のりのイスラエルとの関係正常化

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エルサレム=高久潤 ワシントン=下司佳代子

 イスラエルサウジアラビアの関係正常化に向けた動きに注目が集まっている。中東外交の立て直しを図るバイデン米政権が、仲介に本腰を入れ始めたことが背景にある。実現すれば、イスラム世界全体とイスラエルの融和への道が開かれ、歴史的な成果となるが、道のりは依然として険しそうだ。

 仲介をめざす米国は、サウジ、イスラエルそれぞれと強い同盟関係にあり、核開発疑惑のあるイランの抑止という目標を両国と共有する。米国にとっても中東が安定すれば、限られた外交資源を対中国やロシアに振り向けられる。

 一方でサウジは、米国が中国との対抗上、安全保障の軸足を中東からアジア太平洋に移す中、米国依存からの脱却を目指してきた。今年3月には中国の仲介で、長年敵対してきたイランとの外交関係の正常化を発表。ロシアのウクライナ侵攻では欧米と一線を画し中立的な立場をとるなど、独自の外交路線を模索する。米国との交渉では、自国に有利な条件を引き出そうとしている。

中国を警戒、米国が示した「見返り」

 米紙ニューヨーク・タイムズ

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