祖父が出した国語辞典から消えた言葉 辞書マニアの孫が読み解いた

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米田千佐子
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 6畳とキッチンの1Kに、仲間と持ち寄った新旧のコレクションを詰め込んだ「辞書部屋」をつくった。辞書の海を自在に泳ぐのは、「辞書マニア」の校閲者、見坊行徳(けんぼうゆきのり)さん(38)。辞書と言葉のいまを聞きました。

 ――今春、三省堂編修所との共編著で「三省堂国語辞典から消えたことば辞典」を出版しました。祖父で辞書編纂(へんさん)者の見坊豪紀(ひでとし)(1914~92)が世に出した「三省堂国語辞典(三国(さんこく))」。その各版から、時代とともに削除されていった言葉を紹介した本です

【オンラインイベント】ことばの海をおよぐ 申し込みはこちら

新聞社で記事を点検する「校閲」の作業では、辞書が片時も手放せません。12月20日(水)午後3時からオンライン配信をスタートし、「辞書マニア」の見坊行徳さんを招いて、ことばと辞書、校閲の奥深い世界を語ります。

祖父が世に出した「三国」から消えた言葉

 三国の前身の「明解国語辞典(明国)」が生まれたのが43年。その明国の改訂版(52年)から、三国8版(2022年)までに「消えた」言葉から厳選しました。面白いものを書き出していったら大量で、「こんな言葉もあったの?」と。どれもほんの数十年前、我々の親世代が生きて使っていた言葉です。

 ――「ア式蹴球(しゅうきゅう)」「BG」「赤電話」「翔(と)んでる」「MD」……今では耳慣れない言葉や懐かしい言葉が並びますが、時代とともに削除されていったのですね。版ごとの収録語彙(ごい)の変化から、どんな時代の変化が見えましたか

 戦後になって、戦争関係の言葉がかなり削られています。明国改訂版が出たのが52年で、さらに三国初版の出版が60年。この2版で徹底的に削られている感じがします。

 わかりやすいのは明国改訂版…

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2023年8月20日15時0分 投稿
    【視点】

    学生時代に愛用していた辞書のことを思い出しました。使い込めば使い込むほどに、ページの端っこが黒ずんできて、ゴツゴツしてくるんです。で、あ行、か行……わ行のそれぞれでそのゴツゴツ加減が微妙に異なっていて、あ、オレ、○行の言葉をたくさん引いてい

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