「反仏親ロ」は幻想なのか? ニジェールのクーデターを読み解く
アフリカ西部ニジェールで起きたクーデターをめぐり、近隣諸国の動きが慌ただしくなっています。そもそも、西アフリカの内陸国では、どのような問題を抱えてきたのか。今回のクーデターは何が原因なのか。日本貿易振興機構アジア経済研究所の佐藤章・主任調査研究員(アフリカ地域研究)に聞きました。
――7月26日に起きたクーデターの原因は何でしょうか。
事前に国民の不満が表出していたわけでも、内部対立が激しくなっていたわけでもないとみられています。クーデターの大義がみえず、はっきりとした原因がわからないというのが正直なところです。
近隣国のマリとブルキナファソでは、政府がイスラム過激派や反政府勢力に対応できていないという国民の不満などを背景に、その声を受けて「世直し」のように軍部がクーデターを起こしてきました。
しかし、ニジェールでは、こうした状況がなかった。政府は、イスラム過激派とも粘り強く交渉していました。また、軍隊組織の内部での主導権争いというのも、みえてこない。実際にクーデターでトップに就いたチアニ将軍に対抗しようという他の軍部の動きもありません。
クーデター、ちょっとした野心でできてしまったか?
――大義のないクーデターなどありえるのでしょうか。
強引に理由づけを考えてみる…