「公助」見えぬ夏 もっと私たちの声を、こっちから聞かせてやるのだ

有料記事多事奏論

編集委員・高橋純子
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記者コラム「多事奏論」 編集委員・高橋純子

 物価高騰の影響で、食費を節約して低栄養になる人がいます。夏休みに入り、給食が頼みの綱だった子どもの栄養状態が懸念されます。食品を無償で配るフードバンクへの申し込みが増えています――。

 そんな胸の痛むニュースに合わせて提供されるのは、「節約レシピ」のアイデアだったり、ボランティア団体への寄付の呼びかけだったり、ほぼ「自助」と「共助」の次元にとどまっているのが不思議でならない。「公助」はどこへ行ったのだ?

 後手にまわる政府の対応を正面から批判し、「なんとかしろ」と怒っていい、怒るべき局面だろう、今は。

 先月21日の記者会見。首相は「政治家・岸田文雄の原点」に立ち返って全国津々浦々を回り、「皆様方の声を伺う」ことに注力すると述べた。これを受けて記者が「それは最近、国民の声を聞けていないと感じることがあったからか」と問うと、「国民の声を聞くことの大切さ、また、決断することの難しさ、こういったものを次々と感じる、こうした月日であったと思う。ただ、改めて今、今年の下半期を考える際に、この原点である国民の声を聞くということの大切さ、これをいま今一度かみしめて、声を聞き、そして、先送りできない課題に一つ一つ結果を出していく」。

 あまりの中身のなさに夏なのに震える。

 そもそも首相の耳は、全国津…

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