悪天候のなか出航、観光船沈没は「人災」 国の意見聴取で指摘相次ぐ
角詠之 佐野楓 長谷川潤
北海道・知床半島沖で昨年4月に観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故の原因を調べている国の運輸安全委員会は26日、最終報告書に向けた「意見聴取会」を開いた。出席した専門家らからは「互助による安全体制の構築」を求める意見などが出た。
「失敗学」の観点で意見を述べた東京大大学院工学系研究科の中尾政之教授は、経験の浅い船長らが周囲から「午後から波が荒れる」と警告されながら出航したことなどを踏まえ、「(事故は)人災に近い」と述べた。
カズワンを運航していた「知床遊覧船」は当時、従業員が数人しかおらず、桂田精一社長が資格要件を満たさないまま「安全統括管理者」と「運航管理者」を担っていた。中尾教授は「小さな組織で専任の安全管理者を配置するのは難しい」とし、地域でコントロールセンターのようなものを作って互助による安全体制を整えるよう提案した。
また、東京海洋大の矢吹英雄…