第6回事務所とタレント、なぜトラブルに? あるべき姿とは 弁護士に聞く

 ビジュアル系バンドや歌手の愛内里菜さんをめぐる訴訟などで、アーティストやアイドルの権利を保護する内容の判決が相次いだ。芸能分野の法務に詳しく、自らも作曲活動を行う高木啓成弁護士に、意義や展望、芸能関係の契約で気を付けるべき点などを聞いた。

そもそもなぜトラブルに?

 ――芸能界では、俳優の能年玲奈さんが2016年、以前に契約していた事務所との関係を背景に「のん」に改名したことが注目されました。19年には、ジャニーズ事務所から独立した「SMAP」の元メンバー3人(香取慎吾さん、稲垣吾郎さん、草彅剛さん)をめぐり、公正取引委員会がジャニーズ事務所に対し、3人をテレビ出演させないよう圧力をかければ独占禁止法違反になるとして注意をしました。これらの問題を受けて何か変わりましたか。

 大きな変化が起きたわけではないと考えています。事務所とトラブルになったタレントとの取引を見合わせたり、所属事務所から独立したミュージシャンが、元事務所と関係の深いライブハウスに出演しづらくなったりすることなどは、現在でもあります。

 ――事務所とタレントのトラブルはなぜ起きるのでしょうか。

 難しい質問ですが、一般的に…

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    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2023年8月6日10時22分 投稿
    【視点】

    売る商品が「人間」だということが、芸能事務所の仕事でもっとも難しい点だと思います。モノの「商品」と違って、人間はどんどん変化するし、目指したいものや夢も自分の成長にともなって変わる。安定的に収入を得ている状態なのに、商品がそこから抜けだそう

    …続きを読む