琵琶湖の「ゆりかご」 魚が戻った水田でつながる食と風土

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記者コラム 「多事奏論」 編集委員・長沢美津子

 目をこらすと小さな魚が、イネの間を泳いでいる。魚道に網を入れると黒々したナマズの子が跳ねて、歓声があがる。

 滋賀県のすすめる「魚のゆりかご水田」の視察ツアーに参加した。

 琵琶湖と水田はつながっていた。自然な水位の変化を利用し、魚が行き来して繁殖する環境は、農業の生産性を高める圃場(ほじょう)の整備で断ち切られた。これを取り戻すのが、プロジェクトの目的だ。魚が田んぼにあがっていける仕掛けを作り、琵琶湖の固有種と、生物多様性を守ろうとしている。

 ツアーに集まったのは、京阪神の米屋さん。会議室では「特徴をどう消費者に伝えるか」と腕組みしていたお米のプロが、現場では降る雨も気にせず、あぜ道に下りていく。なにがワクワクさせるのだろうか。

 わたしは関西に暮らし、琵琶…

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