趣味のダブルヌンチャク、警官は凶器と判断 真っ向勝負の裁判の結末

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村上友里

 コン、コン、コン――。

 午後8時ごろ。暗闇の中、整体師の男性(55)は乗用車の窓ガラスをたたかれた。兵庫県で仕事を終え、岡山県の自宅へ帰る途中、コンビニエンスストアの駐車場で仮眠をしていた。目を開けるとライトを向けられた。巡回中の警察官だった。

 「車の中を見せてほしい」

 そう求められ、応じた。しばらくすると、後部座席を確認していた警察官から声が上がった。

 「なんだ、これは」

 突きつけられたのは、3本のヌンチャク。40年近く愛用してきた木製の1本と、鉄製の2本だった。

忘年会のため、練習再開

 中学生のころ、カンフーで次々と敵を倒していくアクション映画に魅せられた。中でも心に響く名言も残すブルース・リーに憧れた。通信販売で木製のヌンチャクを買い、10代のころは自室でほぼ毎日、練習をしていた。

 高校を卒業し、働き始めてからは、手にとる回数は減った。それでも、整体師という職業柄、手首や腕を鍛えるために振り回すこともあった。

 2015年秋。同僚たちと忘年会の出し物について話し合っていた際、「昔、ヌンチャクの練習をしていた」と打ち明けると、盛り上がった。同僚たちは喜び、演劇の中で披露することに。久しぶりに練習を再開した。

 忘年会の会話をきっかけに、両手で2本を操る技「ダブルヌンチャク」をしたり、風切り音を出したりしたいと思うようになり、同じヌンチャク2本を手作りした。

 同僚たちに愛用するヌンチャクを見せようと、車に載せていた日の夜、仮眠中に警察官に声をかけられた。

■お金を払えばいいだけ?…

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この記事を書いた人
村上友里
国際報道部

難民移民、人権、司法