100歳キッシンジャー氏、軍同士の対話復活探る 中国国防相と会談

北京=斎藤徳彦
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 米国のキッシンジャー元国務長官が中国を訪問し、19日に北京で李尚福国務委員兼国防相と会談した。李氏が米国の制裁対象となっていることが、米中が国防分野での対話を再開できない大きな要因となっているが、中国側は米国の対応次第で再開の意図があることを改めて示した。

 キッシンジャー氏はニクソン米政権の大統領補佐官として極秘訪中し、米中の国交正常化に道筋を付けた立役者。100歳となったキッシンジャー氏は現在の米中関係の緊張に危機感を持っており、2019年に習近平(シーチンピン)国家主席とも会談するなどいまでも中国側からの信頼は厚い。

 会談で李氏は、「米国の一部の人たちが中米関係を国交正常化以来の(最も)低い谷に落ち込ませている」と批判した上で、「両国・両軍関係の健全で安定な発展」のため、米国に昨年の米中首脳会談で合意した相互に尊重するなどの原則を守るよう求めた。

 キッシンジャー氏は「米中はお互いに誤解をなくし、対抗を避けるべきだ」と述べ、「両軍が対話を強める」必要性を強調した。

かたくなな中国、姿勢に変化も

 中国側は李氏が制裁対象になっていることに反発し、今年6月にはシンガポールでのオースティン米国防長官と李氏との会談を拒否した。その後、ブリンケン国務長官が訪中するなど米中のハイレベルの往来が回復する中でも、国防分野の対話は復活していない。

 ただ、今月12日には駐米中国大使の謝鋒氏が米国防総省のラトナー次官補と対談に臨み、両軍の交流再開への条件を示すなど、対話への意欲を見せてもいた。(北京=斎藤徳彦)

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