女子が野球やって問題ある? 「MAJOR」作者が女子を描くわけ

佐藤祐生
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 女子野球への注目度がいまほどは高くなかった2015年、女子選手にスポットをあてた野球漫画の連載が「週刊少年サンデー」で始まった。

 茂野吾郎が大リーグの投手へと成長していく姿を描いた人気作品「MAJOR」の続編としてスタートした「MAJOR 2nd」だ。

 第27回全国高校女子硬式野球選手権大会が22日、兵庫県の丹波市と淡路市で開幕します。8月1日の決勝は3年連続で阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開催されます。昨年より9チーム多い過去最多58チームが参加、頂点をめざします。  開幕を前に、女子選手らの活躍を描いた「MAJOR 2nd」を連載中の漫画家・満田拓也さんにインタビューしました。

 主人公は吾郎の息子の大吾。大吾が入る風林中の野球部は、エースの佐倉睦子をはじめ、二塁手、遊撃手など主要なポジションで女子が活躍する。

 女子の投手が男子の打者から凡打の山を築き、女子の打者が男子投手から満塁本塁打を放つ――。

 女子部員の多さからソフトボール部と勘違いした新入生に、睦子がきっぱり言い放つシーンがある。

 「女子が野球をやって、何か問題ある?」と。

 作者の満田拓也さん(58)に作品に込めた思いや選手へのエールを語ってもらった。

 ――15年と言えば、全国高校女子選手権の参加チームは20で、今大会の3分の1ほどでした。なぜ女子選手を採り上げたのでしょう。

 主人公の大吾と同級生でヒロインの睦子は小学生のときに野球を始めました。そのまま睦子に野球を続けさせていたら、自然と女子の野球を描いていたのです。

 僕はバレーボールを扱った「健太やります!」や「MAJOR」を通じて、男性のキャラクターは飽きるほどに描いてきました。

 「果たして自分は女性キャラクターの描き分け、キャラ付けもできるのだろうか」という、新たな挑戦として「MAJOR 2nd」を描いた面もあります。

 浦沢直樹先生が柔道がテーマの「YAWARA!」で非常に巧みに女性を描かれていて、それに影響を受けたというのもあります。

 ――もともと女子の野球に興味があったのですか。

 現実世界で、作中のように女子が男子にまじって野球をするのは反対です。パワーに差があるため、けがをしてしまう可能性が高いと思います。

 しかし、女子だけで野球をすることには大賛成です。一般的に「女性のスポーツはパワーやスピードの点で男性に劣るので、つまらない」という評価になりがちですが、僕はそうは思いません。

 その理論で言ったら、大リーグを見た後に、甲子園の高校野球を見たらつまらないということになってしまう。

 そんなことはなくて、高校野球も面白い。

 ――作中で、ある女子選手が「どっちにしろ、あたしたち女は甲子園に行けるわけでもないんだし」と発言する場面があります。全国高校女子選手権の決勝が甲子園球場で開催され、今年で3年目になります。

 男女に関係なく、必死に頑張っているかどうかが重要なのだと思います。そういう意味で僕は女子の高校野球も面白いと思っているので、盛り上がってくれて本当にうれしいです。

 女子が甲子園のグラウンドに立てる機会をもっと増やして、テレビなどでの放映も男子と同じくらい増やしてほしいとも強く思っています。

 みなさん悔いの残らないよう、頑張ってください!

(インタビューは書面で行いました)(佐藤祐生)

 みつだ・たくや 1965年生まれ、広島県福山市出身。88年から「週刊少年サンデー」などでインターハイをめざす弱小バレー部をテーマにした「健太やります!」を連載。94年から同誌で16年間連載した「MAJOR」は小学館漫画賞を受賞した。2015年から「MAJOR 2nd」を連載中。

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2023年7月18日15時0分 投稿
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