知事選 「政治を自分事に」主権者教育で若者の投票率アップ?

高木智子
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 投票率が低くなりがちな10、20代の若者に選挙への関心を持ってもらいたい。群馬県知事選が23日に投開票されるのにあわせて、県選挙管理委員会は、若者向けに主権者教育をしたりチラシを配ったりするなどの取り組みを進めている。

 11日、2人のお笑い芸人が「笑える!政治教育ショーin群馬」と題して、県立高崎工業高の3年229人に問いかけた。

 「若者が損している?」

 県が昨春から進めている主権者意識を高める選挙教育の一環だ。時事ユーチューバーのたかまつななさんが代表の「笑下村塾」と連携し、お笑い芸人がクイズやゲームを取り混ぜながら、政治の仕組みや社会問題を自分ごととして考えさせる内容になっている。

 講師の芸人は「自分たち芸人が客にあわせてネタを選ぶように、政治家もネタを選ぶ。投票に行くのがおじいちゃんが多いなら、高齢者受けの政策になるよね」。若者の投票率が低いと影響力も弱くなり、高齢者を重視した政策が増えていく「シルバー民主主義」になりがちだと解説した。

 校則をめぐる裁判やオンライン授業を実現させた高校生の活動について説明したり、ネットでの署名などで社会を変えていくことができたりした事例をいくつも紹介して、10代でも動けば社会を変えていくことができることを示した。政治や社会課題の解決に携わることはハードルが高そうにみえても、無関係ではないと投げかけた。

 生徒たちは「教室にエアコンをつけてほしい」「登下校に制服を着る校則をやめたい」「テーマパークのチケット代を安くしたい」などと、身近にある自分にとっての「変えたいこと」を発表。そのためには、署名を集めたり、SNSに投稿したりすることも後押しになると話し合った。

 3年の真庭詩音さん(17)は「通学に使う電車の本数が少なくて困っている。署名を集めたら状況を変えることができるかな」。3年の岡茜利(あかり)さん(17)も「奨学金人生設計を話し合う年齢になって、政治家の主張が気になるようになった」と話した。

 この「政治教育ショー」は民間ノウハウを活用した選挙授業で、選挙権を得る18歳が在籍する高3が主な対象。知事選の前に集中的に計画されており、14日までに県立高校を中心に60校以上で開かれる。今年度の予算は約2600万円。

 一方、大学生向けに主権者意識を高める取り組みもある。県内24の大学や短大、高等専門学校が参加したコンソーシアムが2021年に設立され、若年層の投票率の向上などを目的にした啓発や授業も進められている。

 10日、県立女子大(玉村町)でコンソーシアムに参加する男女4人の学生が昼休みの食堂をまわって、知事選を周知するチラシを配布し、投票を呼びかけた。

 2年の阿部来夏(こなつ)さん(20)は「これからの社会を担う若い人も情報を知ることが大事」と啓発活動に加わった。大学院生の茂木春香さん(22)は「わざわざ投票所に行くのは大変。大学やネットなど、日常の場面で投票ができると便利。投票する人も増えるかな」と言い、チラシを配った。

 県選管によると、前回の知事選(19年)の投票率は、参院選と同日選となったこともあって17・15ポイント上昇して48・51%。年代別では10代、20代、30代はいずれも30%台だったが、70代は64・62%で最も高く、60代が63・54%だった。高木智子

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