【そもそも解説】新政権誕生近づくタイ 政治と社会が抱える問題とは

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大野良祐

 日本人にとって人気の旅行先であり、同時に多くの日本企業が進出している東南アジアのタイは、身近な国です。しかし、この20年の間に2度も軍事クーデターが起き、大規模な反政府デモが繰り返されるなど不安定な状態が続いています。5月の下院総選挙を受けて、どんな政権が生まれるのか、政治や社会は安定に向かうのか――。タイがそもそも抱える問題はどういうものなのでしょうか。

 Q タイに行くと、王様の肖像があちこちあるけど、どんな政治体制の国なの?

 A 正式な国の名前はタイ王国。20世紀はじめまで絶対王制の国だったが、1932年に軍人や文官らによる「立憲革命」が起きて立憲君主制に移行した。国王の権力は一時低下したが、その後、軍部が国王の権威をもり立てながら実権を拡大して、国王と軍が支え合うかたちでタイの支配を確立していった。

 その中核となったのが46年に即位したプミポン国王(2016年没)だ。全国各地を視察して国民と触れ合い、1973年の学生による民主化運動では学生の側に立つなどして、国民からの絶大な敬愛と支持を取り付けていった。

 Q クーデターがよく起こる国だと聞いたけど。

■繰り返されたクーデター…

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