プリンターは延々と英文はき出した サイバー被害の名古屋港、対策は

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高絢実 良永うめか 稲垣千駿 編集委員・須藤龍也
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 日本を代表する貿易港の名古屋港で3日にわたり、コンテナの搬出入が停止した。原因はサイバー攻撃とみられるランサムウェア(身代金ウイルス)への感染で、港の被害は日本初という。港湾は法で定める「重要なインフラ」に含まれず、物流を支える港をどう守るか、課題が浮かぶ。

 発生から1週間。貨物の搬出入を管理する名古屋港運協会(名古屋市)への取材で状況が分かってきた。

 4日午前6時半ごろ、名古屋港の飛島ふ頭(愛知県飛島村)。ゲートの入り口で、数台のトレーラーが受け付けできず、とどまっていた。トレーラー側にある専用端末やゲート側の読み取り機が反応しなかった。

 約1時間後。別の埠頭(ふとう)にあるターミナル事務所では、プリンターから次々と紙が吐き出されていた。いずれも冒頭に「LockBit Black Ransomware」の文字。英文で「データが盗まれ、暗号化されている。復元したければこのURLにアクセスしろ」という趣旨が書かれていた。紙は100枚ほど出力された。

 船への荷積み、荷下ろしからトレーラーのコンテナ搬出入まで、一元管理するオペレーションシステムがダウンしていた。ランサムウェアへの感染だった。

 協会は要求に応じず、数十台のサーバーについてウイルスのチェックを進め、検出されたウイルスの駆除作業に追われた。システムが一部復旧したのは2日後の6日朝。コンテナの搬出入の作業再開は6日午後だった。

 この間に配送の遅れなどで、少なくともコンテナ約1万5千本が影響を受けたとみられる。協会の黒木徹理事は「衝撃です。考えられる対策は常にしていました。利用者の方に迷惑をかけてしまい、申し訳ない」と話す。

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