宮城の3海水浴場が「ブルーフラッグ」取得 原発処理水巡り条件付き

山浦正敬
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 宮城県内3カ所の海水浴場が、ビーチやマリーナなどを対象とした国際認証「ブルーフラッグ」を取得した。新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類となってから初の海水浴シーズンを前に、安全で美しいビーチと国際的に認められたとして、地元は喜ぶ。ただ、事故を起こした東京電力福島第一原発から処理水が海洋に放出された場合、国際原子力機関(IAEA)の安全基準を満たし続けることが条件とされた。

 認証を取ったのは、小田の浜(気仙沼市)とサンオーレそではま(南三陸町)、菖蒲田(しょうぶた、七ケ浜町)の3カ所。結果は6月末、地元に報告された。県内および東北では初めての取得で、国内で認証を受けたビーチは計10カ所となった。

 南三陸町の佐藤仁町長は5日の記者会見で、「認証の取得が目的ではなく、そこに向かうプロセスと継続性が大事で、環境を守り、次の世代へとつないでいく手段だ」と今回の意義を説明した。町民らと海水浴場の環境保全活動やバリアフリー化、定期的な検査などを続けたことが評価されたとして、喜ぶ。

 ただ、東電は福島第一原発の処理水の海洋放出を今夏にも始める計画で、3カ所は条件付きの認証となった。同町に結果が届いたのは、IAEAの報告書が国に手渡された今月4日より前のことだったが、佐藤町長は「(科学的な観点で安全とした)IAEAの報告書があるのに条件付きになるのは解せない。それは風評以外のなにものでもない」と首をかしげる。条件の撤廃を働きかけるように国に要望する考えを示した。

 ブルーフラッグは1985年にフランスで生まれ、国際NGOの国際環境教育基金が実施する制度。ビーチの場合、水質や環境教育、安全性など4分野33項目について基準があり、毎年審査を受ける。2023年5月現在、世界51カ国の5036カ所が取得しているという。(山浦正敬)

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