韓国政府「海域への影響は限定的」 処理水放出で独自の検討結果公表

福島第一原発の処理水問題

ソウル=稲田清英 太田成美
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 韓国政府は7日、東京電力福島第一原発処理水海洋放出計画の安全性に関する独自の検討結果を発表した。計画は「国際原子力機関(IAEA)などの国際基準に合致することを確認した」として、海洋放出に一定の理解を示した。韓国の海域に与える影響は限られるとも指摘した。

 韓国政府によると、処理水の放出が韓国の海域に影響を与えるとすれば4~5年後以降とみられる。トリチウムの影響は海域での現状の平均的な濃度の10万分の1未満とみて、「科学的には意味を持たないと予測される」とした。

 一方、韓国政府は今回の検討結果が「放出が計画通りに行われる前提」だとも指摘。「日本が計画をどんな内容で確定するかやその適切性、実行可能性などを確認してこそ、最終的に判断できる」とした。今後の計画実行の状況をよく見極め、情報共有なども求めていくという。

 また、2013年から続けている福島など8県からの水産物輸入禁止の措置についても「すべての国民が安心できる時まで維持する計画だ」と強調した。

 韓国政府は約2年にわたって放出計画の安全性に対する独自の検討を行ってきた。今年5月には福島第一原発に視察団も派遣している。IAEAが4日、「計画は国際的な安全基準に合致」すると結論づけた調査報告書を発表しており、韓国政府は7日、IAEAの見解についても改めて「尊重する」と表明した。

 一方、韓国では処理水の放出による海洋環境への影響などを不安視する声が根強く、世論調査機関ギャラップが6月30日に発表した調査でも「心配」が8割近くを占めた。韓国政府は国民の不安解消に向けて、海域での放射能の監視体制などを強化するという。(ソウル=稲田清英、太田成美)

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