サイバー攻撃から復旧の名古屋港 2日ぶりにコンテナ積み下ろし再開

高絢実 良永うめか
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 ランサムウェア(身代金ウイルス)の感染で障害が発生していた名古屋港愛知県飛島村など)の港湾管理のシステムが6日復旧し、コンテナの搬出入作業も同日午後から順次再開した。通常業務が2日間中断し、配送の遅延など少なくともコンテナ1万5千本の積み下ろしに影響が出た。

 管理する名古屋港運協会によると、4日朝、事務所のパソコンがランサムウェアに感染していたことが判明。「指定のURLにアクセスしろ」といった趣旨の英語の脅迫文が、プリンターから多数出力され、ハッカー集団「ロックビット」の名前もあった。サイバー攻撃とみられる。

 システム障害の影響で、トヨタ自動車は、飛島物流センターなど輸出向け自動車部品の梱包(こんぽう)工場4カ所のラインについて7日の稼働を止める。部品の積み込み作業ができなかったためだという。現時点で国内外での自動車の生産に影響はないといい、「状況を注視して対応する」としている。

積み下ろし作業を再開 作業時間を延長へ

 名古屋港で起きたシステム障害は6日、2日ぶりに復旧した。コンテナの搬出入作業も順次再開したが、飛島村のコンテナ埠頭(ふとう)周辺では朝から作業再開を待つ長い車列ができ、混乱も見られた。

 「台風や大雪で何時間か止まることはあるが、今回のように何日間も作業が止まるのは初めて」

 こう語るベテラン運転手の男性(72)は、6日午前6時ごろから埠頭近くで車列に並んだ。サイバー攻撃とみられるシステム障害で、ここ数日、荷物の積み下ろしが計画通りにこなせなかったという。「すぐに動く準備をしないと」

 システムを管理する港湾運送業者でつくる名古屋港運協会によると、4日朝、事務所のパソコンがランサムウェア(身代金ウイルス)に感染。協会は当初、5日夕のシステム復旧を見込んでいたが、復旧したのは6日午前7時半。全システムでウイルスをチェックしたほか、感染したサーバーが数台あり、駆除作業に時間を要したという。

 コンテナの積み下ろしの再開も6日午後3時までずれ込んだ。配送の遅れなど、これまで少なくとも1万5千本のコンテナに影響が出たという。

 通常積み下ろしは午後4時半までだが、協会は今後1週間ほど、午後7時半まで作業時間を延ばして正常化に努める。感染経路の特定を急ぐとともに再発防止に努める方針という。(高絢実、良永うめか)

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