鈴木エイトさん「岸田首相はズルい」 自民党と教団、監視弱まると…

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聞き手・岡野翔

 安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され、死亡した事件から8日で1年。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題が次々と明らかになり、文部科学省が解散命令請求を視野に調査を続けている。自民党をはじめとする政治家と教団との関係はどうなったのか。問題を長年追ってきたジャーナリストの鈴木エイトさん(55)に話を聞いた。

 事件から1年が経つが、自民党の政治家が旧統一教会との関係を断つ取り組みは、まだ何も始まっていないと言える。それどころか、様々な疑惑をうやむやにしたまま、幕引きを図ろうとしている印象さえ受ける。

 自民党は昨年9月、所属国会議員の過去の教団との接点に関する点検結果を公表した。だが、「党として組織的な関係は一切ないことは確認済み」との前提で行われ、各議員の自己申告にとどまる不十分な内容だった。昨年末に不当寄付勧誘防止法(被害者救済新法)が制定された後は、一段落という空気感も漂うようになった。

 なぜ安倍元首相が狙われたのか。自民党と教団との関わりがどのような経緯をたどってきたのか。本来ならば第三者委員会などを設置し、教団による政界工作の実態も含めて徹底的に検証するべきだろう。今からでも決して遅くはない。

 だが、そうした動きは確認できない。自民党幹部らの発言を追うと、安倍氏個人の問題として片付けようとする思惑も透けて見える。「未来に向けて関係を断つよう徹底する」などと先のことばかり繰り返す岸田文雄首相もずるい。身を切ることをしなければ、本当の意味で関係を断つことは不可能だ。

 自民党がやらなければ、国会や各省庁が連携して様々な角度から問題を検証し、報告書にまとめることも必要だろう。

解散命令請求、着目すべきは…

 教団との関係は「政治と宗教…

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この記事を書いた人
岡野翔
大阪社会部
専門・関心分野
公金の使途、公的機関の情報公開、言論の自由
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    菅野志桜里
    (弁護士・国際人道プラットフォーム代表)
    2023年7月7日9時29分 投稿
    【視点】

    日々のニュースの刹那に流されず、深刻な問題をとことん最後までやり切ることができるのか、孤独にそれを実践してきた鈴木エイトさんから社会への重要な問いかけが迫る良記事だと思います。 安倍家・岸家三代を主軸に、清和会と旧統一教会は、戦後数十年に

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    浅倉拓也
    (朝日新聞記者=移民問題)
    2023年7月7日10時33分 投稿
    【視点】

    この問題を長く追及してきた鈴木エイトさんは素晴らしい仕事をしてきたと思います。教団を信仰する政治家が選挙に出るのは勝手ですが、票がもらえるなら政策どころか信仰さえどうでもいいという政治家がたくさんいるということを示してきました。ただ昨夏以降

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