MBSラジオが「番組向上委員会」設置 朝鮮学校めぐる不適切発言で

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 MBSラジオ(大阪市)の生放送番組「上泉雄一のええなぁ!」で、レギュラーコメンテーターを務めていた経済評論家が朝鮮学校について「スパイ養成的なところもあった」などと発言した問題で、同局は、再発防止策として、適切な表現で番組が放送されているかどうかなどを定期的に検証する内部機関「番組向上委員会」を7月に設置した。同局への取材でわかった。

 局によると、委員会はコンプライアンス担当の役員以下、12人で構成。2カ月に1度開催し、適切な表現で番組が放送されているかや、制作過程で起きた問題について局内で検証する。問題の発言があった「ええなぁ!」も「最大の反省材料」(広報担当者)として、議論の対象に含めるという。

 また、5月23日付で「性別や国籍などを理由とした差別を認めない」ことを盛り込んだ「コンプライアンス憲章」を制定したほか、社内研修も継続的に実施するという。

 局は7月4日、在日本朝鮮人人権協会(東京都)の関西にある傘下団体などと局内で面会し、こうした再発防止策を説明した。ただ協会側の出席者によると、ラジオでの発言が、ヘイトスピーチにあたるかどうかについては、同局は「配慮が足りない部分はあったが、ヘイトスピーチにはあたらない」という従来の見解を維持したという。

 面会に出席した在日本朝鮮人大阪人権協会の文時弘(ムンシホン)事務局長は取材に、「ヘイトと認めなかったことは極めて残念だが、放送局として責任を受け止め意味のある措置をしていることは評価している。社会的弱者の立場をくんだ番組作りを、今後は進めてもらいたい」と話した。

 問題の発言があったのは、2月21日の放送。北朝鮮のミサイル発射実験について議論する際に経済評論家の上念司氏が、朝鮮学校について「OBが日本人拉致に関わっていたりする」「スパイ養成的なところもあったり」などと発言。協会側から「ヘイトスピーチ解消法の趣旨に反するのでは」と指摘が上がっていた。

 局は「誤解を招く表現があった」として、3月10日の放送で別の出演者が謝罪。16日にYouTubeなどから音声を取り下げ、23日には「上念さんとMBSラジオの間で今後の情報発信についての考え方に開きがある」として、上念氏の降板を発表した。

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