第2回子どもの貧困対策法10年 「子ども食堂」名付け親が納得できぬこと

有料記事子どもの貧困対策法10年

聞き手・中塚久美子

 「ご飯を一緒に食べよう」と地域の子どもに寄り添い、ネットワークを紡ぐ活動が、「子ども食堂」と呼ばれるようになったのは2012年。翌年、「子どもの貧困対策法」が成立しました。いま、全国に7千カ所以上あると言われる子ども食堂の名付け親、近藤博子さん(63)の目に、法成立後の10年間はどのように映っているのでしょうか。

応援すべきは子ども食堂ではない

 子ども食堂を始めて10年以上になりますが、納得がいかないことがあるんです。

 子ども食堂を応援しますってよく聞くでしょ。でも、国や自治体が本来応援すべきなのは子ども食堂ではなく、親と子です。子ども食堂に経済的支援をするくらいなら、子どもと親に直接渡してほしい。また、公教育で勉強をしっかりできて、安心して学校生活を送れるようにする。そのために、教員を増やし、教員が働きやすい環境を整え、事務仕事は専従者を雇う。

 企業側は、親の正規雇用や子どもが大人になった時に安心して働けるようにすること。たとえばメンタルの問題を抱えていても親が働かなきゃいけない時は、短時間でも仕事ができる職場をつくる。

 子ども食堂を始めたのは、困…

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    本田由紀
    (東京大学大学院教育学研究科教授)
    2023年7月5日14時0分 投稿
    【解説】

    内閣府の「令和3年 子供の生活状況調査の分析報告書」によれば、子ども食堂に該当する「夕ご飯を無料か安く食べることができる場所」を利用したことがある中学生は、困窮層(等価世帯収入が中央値の2分の1未満)でも3.4%にすぎず、「利用したことはな

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    おおたとしまさ
    (教育ジャーナリスト)
    2023年7月5日15時46分 投稿
    【視点】

    無料塾の周辺に、ちょっとお醤油を借りられる関係のような、いちどは失われたかつての地域社会が再生しているように見える。無料塾を核にして、お互いを助け合う地域ネットワークみたいなものが発生している。 少しでも学力を高めて“いい学校”に合格して

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