激化するトランス女性へのバッシング スポーツ参加は「ずるい」のか
男性から女性に性別移行したトランス女性のアスリートがトップレベルの競技大会に出場することを制限する動きが世界で強まっています。
一般社会では、「性自認」を重視する流れの中で、肉体で競い合い、公平性を必要とするスポーツはどう折り合いをつけるべきなのか。
「スポーツとLGBTQ+」の共著がある立命館大の岡田桂教授(スポーツ社会学)に聞きました。
政治にかかわる発言を避けるスポーツ界
――6月、「LGBT理解増進法」が成立しました。性的少数者に対する理解を深めることを目的とする法律ですが、議論の中では、「トランス女性が女性スポーツに参加すれば公平性が保たれない」と懸念する声も上がりました。
日本では、2018年にお茶の水女子大がトランス女性を学生として受け入れることを発表した頃から、トランス女性に対するバッシングが激化しました。
米国では00年代から、「男性器のあるトランス女性が女性トイレに入ってくる」という言説などと並んで、女性スポーツをめぐる問題もトランス女性に対するバッシングとして利用されており、それが近年、日本に持ち込まれた格好です。
「スポーツはとにかくいいもの」と社会全体から尊重されてきたからこそ、女性スポーツの公平性を懸念する声が生じる。にもかかわらず、スポーツ界は説明責任を果たしてこなかったと思います。
スポーツや体育行政は政治と…
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