「学校だけでは限界」 元教員が語る子どもの困難、居場所はどこに?
不登校や自殺、虐待、いじめ……。子どもが多様な生きづらさを抱えるなか、学校でも家庭でもなく、安心して過ごせる居場所が必要だと、国も動き出した。
4月に発足したこども家庭庁の政策の柱のひとつに「こどもの居場所づくり」を位置づけた。部会を立ち上げ、年内にも「こどもの居場所づくりに関する指針(仮称)」を策定し、閣議決定する方針だ。
背景には、多くの時間を過ごす家庭や学校以外の居場所がほしいと感じている子どもが多くいる実態がある。
同庁の設立準備室がおおむね30歳までを対象にした調査(2036人が回答)では、37%が(家や学校以外で、ここにいたいと感じる)「居場所がない」と答えた。「居場所がほしい」と答えたのは全体の72%にのぼった。
学校に来ない子どもも増えている。
文部科学省は、病気による欠席や、新型コロナウイルスの感染回避(2020年度以降)などの理由を除いて、年度間で30日以上登校しなかった児童生徒を「不登校」とし、実態を調査している。
不登校児童生徒数は小中学校いずれも増え続け、21年度は24万4940人で過去最多になった。
要因は、「無気力、不安」が50%と最多。ほかに、「いじめ」や「いじめを除く友人関係」(計10%)、「親子の関わり方」(8%)、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」(12%)などが挙げられている。
また、学校内外で相談や指導を受けていない児童生徒の割合は17年度から増えている。21年度の24万4940人のうち36%は、学校内の養護教諭やスクールカウンセラー、学校外の教育支援センターなどの相談や指導を受けていなかった。高校1年で不登校になっている生徒のうち10%の人は、前年度から不登校が続いていた。
調査には、保健室などに登校している生徒は含まれていない。遅刻や早退を繰り返しているものの、「欠席」と認定されていない子どももいる。
発達障害、うつ、生活保護、過剰摂取…
こうした子どもの人数や状況について国は調査しておらず、学校に通うのが難しい児童生徒の全体像は把握しきれていない。
「自分の楽しみや、やりたいことを見つけられないままの子どもがたくさんいる。学校に戻すことだけが目的ではなく、それぞれの子どもに合った居場所を見つけなくてはいけない」
元教員の50代男性はそう語る。
子どもたちを助けたい。でも…
- 【視点】
夏休みの期間中、子供は学校という公的領域から切り離されて、家庭という私的領域に身を置いています。部活動や補習、学習塾に行ったり、友人と出かけたりするなどの機会があればよいですが、一日中ずっと家庭で過ごすこともあります。 多くの子供にとって
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