フリーランス保護へ一歩前進 労災対象外、事故報告で契約は…課題も

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北川慧一 編集委員・沢路毅彦
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 フリーランスら個人事業主も労働安全衛生法(安衛法)で保護される見通しになった。国が事故件数などを把握できるようになるため、予防対策が進むことを期待する声があがる。ただ、けがをした場合の補償など、残る課題も大きい。

 ネット通販アマゾンの配達を担う運送会社から仕事を請け負うフリーランスの男性運転手(65)は昨秋、配達中に個人宅の外階段で2階部分から足を滑らせて転落し、腰の骨を折る重傷を負った。

 夜8時ごろ、階段は急で暗く、霧雨が降っていた。「荷物が残っており、焦っていた」。配達できるのはあと1時間ほどで、残りは十数個。急いで封筒をポストに入れようとした矢先のことだった。

 男性は年金を受け取りつつ、週5日働き、月30万円ほどの収入を得ていた。けがで手術や入院はしなかったが、2カ月ほど働くことができず、その間は仕事の収入はゼロに。通院費などについて会社から補償はなかった。男性は「個人事業主だから補償はないと言われたが、労働者と変わらない仕事をしているのになぜなのか。周囲で事故はよく聞くので、自分もいつか遭うのではと不安だった」と話す。

 企業は雇っている労働者の休業4日以上の事故は国に報告する義務があるが、フリーランスは対象外だ。今回の安衛法の見直しでフリーランスの事故も報告が義務づけられれば、実態把握につながりそうだ。

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 ただ、課題もある。フリーラ…

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