労働者不足に備え、南海和歌山港線で列車の自動運転走行試験

寺沢尚晃
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 南海電鉄は、信号システムメーカーの京三製作所横浜市)とともに、和歌山港線(和歌山市―和歌山港、2・8キロ)で自動運転走行の実証試験を始める。就労人口減少で運転士らの人手確保が難しくなる中、自動運転によって効率化が可能かどうかを検証する。

 鉄道の自動運転は係員の乗務形態によって、目視運転の「0」から完全自動運転の「ポートライナー」(神戸市)などの「4」までレベル分けされている。両社が目指すのは「2・5」の「係員付き自動運転」。係員は先頭車両の運転台に乗務し、緊急停止の操作や避難誘導などを行うが、運転はしない。

 両社は昨年7月から、和歌山港線の信号機の位置や勾配、列車の停止位置などを測量しデータ化。車両に搭載する高機能の自動列車運転装置(ATO)に記憶させるなどの準備を進めてきた。

 試験では、ATOと自動列車停止装置との組み合わせによるシステムの安全性を検証する。また、運転士による運転と同様の加減速ができるか、なども確認する。

 試験の開始時期は8月ごろを予定している。2両編成を試験車両として使い、運転士が乗務した状態で走るが、客が乗る列車では試験は行わない。

 南海の担当者は「将来的な労働者不足の事態に備えるため、その対応策の一つとして自動運転の導入に取り組む」と話す。安全性が確認されれば、和歌山港線と高師浜線(大阪府高石市、羽衣―高師浜、1・5キロ)での導入を目指す。(寺沢尚晃)

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