神宮外苑再開発の説明会、17日から3日間 住民「開けた対話を」

土舘聡一

 多数の樹木伐採に強い批判がある明治神宮外苑地区の再開発事業で、事業者側が住民説明会の実施を発表した。あわせてウェブサイトでも説明動画を公開したり、質疑に応じたりするという。工事の本格化前に世論の理解を広げたい考えだが、住民側からは方法に疑念の声も出ている。

 事業者を取りまとめている三井不動産が発表した。事業者の説明不足という印象が広まっているとし、「双方向でのやりとりの機会を設け、理解と共感を得られるように努める」と説明した。同社によると、これまでも環境影響評価などに関わる説明会は複数回催したが、今回は参加できる対象者数を従来の2倍近くに増やしたという。

 事業者による住民説明会の開催について、小池百合子知事は30日の定例記者会見で「丁寧な情報発信、説明をしていただきたい」と注文を付けた。また、明治神宮などの民間組織が再開発の事業者だと指摘した上で、「しっかりと説明してほしいという申し入れを(都は)行ってきている」と述べた。

 一方、港区で子育てをする保護者らの市民団体「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」は30日、住民説明会の形式見直しを求める声明を発表。事業者側が決めた「参加できる住民ら以外には非公開」ではなく、専門家も参加できる「開けた対話」が必要と主張した。

 代表の加藤なぎささんは「工事の騒音・粉じんはどうなのか。(完成までの)13年間、子どもたちが緑豊かな環境から離れるが、より良いものになるのか」と疑問を投げかけ、「一方的な説明はもう十分。発表された説明会の形式には、都民らとの『対話』という観点が抜けている」とした。

 一方、事業者側は、10月からの市民参加型イベントの開催も発表した。「令和の献木プログラム」「明治神宮の歴史を紡ぐ苗木育成プログラム」(いずれも仮称)の二つで、市民から樹木寄贈を募ったり、明治神宮に由来する樹木の実や挿し木で芽吹いた苗木を育ててもらったりする。これらの樹木は外苑内に植えていくという。詳細は9月に発表予定という。(土舘聡一)

事業者が発表した住民説明会の要点

・7月17~19日の3日間

・近隣の約8千住戸と5千事業者が対象

・対象者以外には非公開

・説明会での説明と同内容の動画を17日正午に公開

・説明会での質疑を随時公開

・ネットでも質問を受け付けて回答を公開…

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません